「remember」「try」「stop」「regret」「forget」で確認!
「I bought a book.」(私は本を買った)という文の「a book」(本)は、「bought」(買った)という動詞の「目的語」と呼ばれます。日本語にした場合、主に「〜を」や「〜に」に当たる部分です。
目的語になれるのは、「book」のような普通の名詞に加えて、「to不定詞」「動名詞」「wh名詞節」といった「名詞と同じ働きをするもの」です。
この中で「to不定詞」と「動名詞」に着目した場合、動詞には「to不定詞と動名詞の両方を目的語にできる動詞」と「いずれか一方のみを目的語にできる動詞」があります。
「いずれか一方のみを目的語にできる動詞」、つまり、「動名詞だけを目的語にできる主な動詞」と「to不定詞だけを目的語にできる主な動詞」については、別のブログで解説していますので参考にしてください。
さて今回解説するのは、「動名詞」と「to不定詞」の両方を目的語にとることができるけれども、「どちらが来るかによって意味が変わる動詞」です。
このパターンの動詞は限られていますが、その中でも頻出の「remember」「try」「stop」「regret」「forget」について説明しましょう。
本題に入る前に用語の説明をしたいと思います。ここでは目的語が不定詞の場合、「to do」と表記します。「do」は動詞の原形です。この部分にいろいろな動詞の原形が入ります。目的語が動名詞の場合は「doing」というように表記します。「doing」は動名詞です。この部分にいろいろな動詞の動名詞形が入ります。

1.remember:〜を覚えている
・remember to do
「remember to do」は、「(人が)忘れずに〜する」「〜するのを覚えている」といった意味です。
Remember to take these supplements every day.
(これらのサプリを忘れずに毎日飲んでください。)
You must remember to do your exercise.
(運動することを覚えておかなければなりません。)
I remember to be grateful.
(私は感謝を忘れません。)
・remember doing
「remember to do」が「(これから)〜することを覚えている」というように、ニュアンスとして未来志向なのに対し、「remember doing」は、「〜したことを覚えている」など、すでに実行してしまった過去の行動を覚えていることを表します。
That reminds me! I remember mailing the letter.
(それで思い出した! 手紙を投函したことを覚えているわ。)
I remember being impressed with her book.
(彼女の著書に感銘を受けたのを覚えています。)
・2つの比較
あらためて「remember to do」と「remember doing」を比べると、
① I remember to buy the book.
私はその本を買うことを覚えている。
② I remember buying the book.
私はその本を買ったことを覚えている。
となります。①はまだ本を買っていません。②は既に買っています。
2.try:〜を試みる
・try to do
「try to do」は、「〜しようとする」「〜しようと努める」などの意味になります。
I will try to be nice to people.
(私は人に親切にするよう努めます。)
Try not to make the same mistake.
(同じ失敗はしないようにしなさい。)
過去形(tried to do)の場合、やってみたけれどもうまくいかなかった、というニュアンスを含む場合が多いです。
I tried and tried again to pass the exam, but I didn’t pass.
(私は試験に合格しようと何度も努力を重ねました。でもだめでした。)
・try doing
「try doing」は、「実際に何かをやってみる」「試しに使う」「試しにやってみる」といった意味です。
I tried cooking sushi for the first time, and they were not good.
(私は初めて寿司を作ってみたが、あまりよくできなかった。)
I had a stomachache so I tried taking pills.
(胃が痛かったので、試しに薬を飲んでみました。)
・2つの比較
「try to do」と「try doing」の違いは、「remember」に比べるとちょっとわかりにくいです。「try to do」が「努力する」という姿勢に焦点が当たっているのに対し、「try doing」は具体的に何かを「実際に試してみる」という行為を表しています。特に過去形になった場合は、動名詞を使った「try doing」は既に完了した行為を示します。
① She tried to call him, but she couldn’t find her mobile phone.
彼女は彼に電話をしようとしたが、自分のケータイが見つからなかった。
② She tried calling him, but he didn’t answer.
彼女は彼に電話をしてみたが、彼は電話に出なかった。
①は、この文の場合、電話をかけようとしたが、実際にはかけていません。②は実際に電話をかけています。
3.stop:止まる、〜をやめる
・stop to do
「stop to do」は、「〜するために(人が)立ち止まる」「〜するために手を止める」などの意味です。
この場合の「to do」は、実は目的語ではありません。文法的には「〜するために」という意味を表す修飾語です。「stop」は「止まる」「立ち止まる」「手を止める」といった意味の自動詞(目的語を取らない動詞)として使われています。
She stopped to smoke.
(彼はタバコを吸うために立ち止まった。)
I stopped to eat ice cream.
(私はアイスクリームを食べようと立ち止まりました。)
・stop doing
「stop doing」は、「〜することをやめる」という意味です。この場合の動名詞「doing」は、もちろん、れっきとした目的語です。
I stopped drinking.
(私はお酒を飲むことをやめました。)
He stopped eating sweets.
(彼は甘いものを食べることをやめました。)
・2つの比較
① I stopped to talk with her.
私は彼女と話すために立ち止まった。
② I stopped talking with her.
私は彼女と話すことをやめた。
特に①を「〜することをやめた」と解釈しないように注意しましょう。
4.regret:残念ながら〜する、〜を後悔する
・regret to do
「regret to do」は、「残念ながら〜する」という意味です。
I regret to say that I cannot accept the mater.
(残念ですがその件はお引き受けできません。)
I regret to tell her the truth.
(残念ながら私は彼女に本当の事を言わなくてはなりません。)
・regret doing
「regret doing」は、「〜したことを後悔する」という意味です。
She regrets fighting with her husband today.
(今日夫とけんかしたことを彼女は後悔しています。)
I regret not going to university.
(私は大学に行かなかったことを後悔している。)
・2つの比較
① I regret to say good-bye.
残念ながら私はさよならと言わなければならない。
② I regret saying good-bye.
さよならと言ったことを私は後悔している。
①はこれから「さよなら」を言う、あるいは今言っているということですが、②は過去に言ったことを後悔しています。
5.forget:〜を忘れる
・forget to do
「forget to do」は、「〜するのを忘れる」という意味になります。
I forgot to set the alarm.
(アラームをセットするのを忘れた。)
Please forgive me. I forgot to tell you.
(ごめんなさい、あなたに言うのを忘れていました。)
・forget doing
「forget doing」は「(既に)〜したことを忘れる」という意味だと習った人が多いかと思います。多くの辞書や文法書にもそのように掲載されているのですが、実は、この言い方はあまり使われていないようです。
筆者の友人のアメリカ人もイギリス人も「forget doing」という言い方は使ったことがないそうです。びっくりしました。
ネイティブの会話では、「forget doing」ではなく、「forget (that) 文」というのが一般的だそうです。
I forgot buying two tuna cans yesterday. ⇒ I forgot that I bought two tuna cans yesterday.
(昨日ツナ缶を2個買ったことを忘れていた。)
I forgot giving my coat to the cloakroom. ⇒ I forgot that I gave my coat to the cloakroom.
(クロークにコートを渡したことを忘れていた。)
・2つの比較
① I forgot to buy the book.
私はその本を買うことを忘れた。
② I forgot that I bought the book.
私はその本を買ったことを忘れていた。
①は本を買っていませんが、②は買っています。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、後ろに「to不定詞」が来るか「動名詞」が来るかで意味が変わる動詞のうち、「remember」「try」「stop」「regret」「forget」を取り上げました。
この5つを覚えていれば案外と便利です。「たった5つ」と思って、この際覚えちゃいましょう!
ただし、上で解説しましたように、「forget doing」は要注意です。言葉は生き物です。かつては使われていた言い回しも、時代や世代、また場所などによって変わることがあります。でもそうした変化を知るというのも、言葉を学ぶ面白さの一つかもしれません。
byあいんちゅ
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ライターあいんちゅのプロフィール
語学、海外トラベル系の雑誌やムックの企画と編集そして執筆を長年しています。元大学教員。書くことが好きで常に何か考えて、書いていないと落ち着かない性分です。還暦過ぎてからの留学を実現するために日々英語勉強中。

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