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ロンドン滞在中のダイアナ元妃の思い出


ダイアナ元妃の思い出

 

<Princes Diana>

毎年8月の終わりから9月の始めになると思い出します。

英国の故ダイアナ元妃(Diana, Princess of Wales)。

1997年8月31日未明、パリで交通事故で命を落としました。

存命であれば60歳となっていた今年7月1日、ダイアナ元妃の銅像が 彼女が住んでいたロンドンのケンジントン宮殿の庭に設置されましたね。

ダイアナ元妃がパリで亡くなった1997年当時、筆者はロンドンに住んでいました。8月30日土曜日に友人の誕生日パーティから夜遅く帰宅し、そのまま倒れこむように眠っていたところ、翌31日日曜日の朝、日本にいる母親からの電話で起こされました。

「ダイアナがパリで亡くなったのね!!」と母。あわててテレビをつけると大騒ぎになっていました。

日本からの電話で元妃が亡くなったことを知るという、なんともマヌケなことでしたが、あれから24年。当時の、ダイアナ元妃に対する異常ともいえる「関心」を現地で目の当りにしてきた筆者としては、自分も生き証人と言われる年齢になったのかと感慨深いものがあります。

もちろんロンドンに住んでいたからといって、ダイアナ元妃に会ったことも見たこともありません。

でも、文字通り毎日、パパラッチが追いかけ回して撮影した元妃の写真がタブロイド紙の一面に載り、テレビのワイドショー的な番組では、ダイアナ元妃の新しいヘアスタイルだ、ファッションだ、はたまたダイアナ元妃の心情が変化したのしないのと、連日コメンテーター達が口角泡飛ばして議論しているような状況でしたので、元妃が今どこにいて、どんなファッションで現れたなど、24年経った今でも結構覚えているのです。

ある日、いつもは下ろしている前髪をオールバックにしてシックなブルーのドレス姿でダイアナ妃が登場するやいなや、テレビでは女性コメンテーターが「her hair is all back!(ダイアナがオールバックのヘアスタイルで現れたわ!)」「she has got her confidence back!(前髪を上げるって、彼女が自信を取り戻したサインだと思うわ!)」と、それはもう大騒ぎでした。

世界中の人に注目されたダイアナ元妃。世界中の人がダイアナ元妃の挙動が気にならずにはいられなかった と言った方が正しいでしょうか。

<she was…>

筆者の大学院の同窓生女性は、ロンドンの某有名百貨店の靴売り場でバイトをしていたとき、同店を訪れたダイアナ元妃と遭遇したときのことを話してくれました。

「How was she?!?(どうだった?ダイアナ!)」と興味津々に聞いた筆者に、彼女は「別に…」と肩をすくめてこう言いました。

「it was just crazy. She was guarded by dozens of body guards(とにかく大騒ぎよ。何十人ものボディガードに囲まれてたわ)」「Still she could be spotted easily because she is so tall(でもすごく背が高いから、いるのがすぐわかるのよ)」 「She was just towering!(とにかく、そびえ立ってる感じだったわ)」

ダイアナ元妃の身長は175cm。チャールズ皇太子(Charles, Prince of Wales)と一緒のときはローヒールを履いていましたが、離婚後、ひとりで公の場に現れる彼女は10cmヒールを履いていたので、見た目185cmだったわけです。まさに「towering」ですね!

余談ですが、ダイアナ元妃は背が高いだけでなくプロポーションが本当に良く、脚がとても長い人でした。

後年、ダイアナ元妃を題材にした映画やテレビドラマなどが作成されていますが、ダイアナ元妃を演じたどの女優も、申し訳ないのですがダイアナ本人と比べるとプロポーションが劣っていて、元妃の圧倒的な存在感を完全に再現しているとは言えないと感じました。

<she is …>

さて、英国内ではダイアナ元妃の報道が日に日にヒートアップしていましたが、大陸ヨーロッパではどうだったのでしょうか?

それほどの関心は集めていなかったという印象です。まずほとんどのヨーロッパの国にも王室というものがあるため、わざわざ英王室やダイアナ元妃をウォッチする理由もなかったと思われます。

当時、筆者のフランス人の友人は、ダイアナ元妃のことが話題になったときこう言いました。

「We Europeans  don’t understand why Diana is sought after!(私たちヨーロッパ人はダイアナがなぜあんなに騒がれるのか理解できないわ)」「She is not particularly beautiful(特に美しいってわけじゃないし)」「People say she is just a chocolate box lady(ヨーロッパではダイアナのこと「チョコレートボックス・レディ」と揶揄してるわよ)」

「chocolate box lady」とは、よくチョコレートのパッケージに描かれているような、感じがよくそこそこ容姿のよい誰にでも好感を持たれる女性のイメージだそうです(=「かわいいけれど、頭は空っぽ」という辛辣な意味も込められているとのこと)。いやはや、ホントに辛辣です…。

<compassion>

ダイアナ元妃の性格や信条、ましてや頭の良し悪しなど、筆者は知るよしもありませんでしたが、彼女に圧倒的な華があったことは事実だと思います。そして自分の持つ華や影響力を世界のために使おうと考えていたという見方にも納得できます。

私生活での苦悩等、心の中は複雑だったかもしれません。また、メディアと持ちつ持たれつの巧妙なスタンスをとっていたかもしれません。でも、お妃候補として突然世界中の注目を浴びた19歳の「Shy Di(シャイ・ダイ、恥ずかしがり屋のダイアナ)」の時のまま、優しいハートの持ち主だったのではないかと思います。

ダイアナ元妃を象徴する言葉が「compassion」です。日本ではあまり聞き慣れない言葉かもしれません。共感、同情という意味です。

彼女がある慈善団体を訪れたときのスピーチで、この「Compassion 」を強く強調していたことを、とても印象深く覚えています。弱い立場の人々に寄り添おうとする彼女の姿勢がこの言葉に込められています。

離婚後に受けたインタビューで言った、あまりにも有名なダイアナ元妃の言葉。ここにも彼女のcompassionが感じられのではないでしょうか。

「I’d like to be a queen in people’s hearts(私は<英国という国のクイーンではなく>人々の心の中にいるクイーンになりたいと思います)」

ちなみにこのインタビューでは、あの有名な言葉も飛び出しました。

「There were three of us in this marriage, so it was a bit crowded」(チャールス皇太子との結婚は2人ではなく3人でした。ええ、ちょっと人が多すぎたわ)

結婚当初から皇太子にはカミラという女性がいたことは周知の事実です。上記のダイアナ元妃の表現は、いかにも英国人らしい、一種のブラックユーモアにあふれたものでした。自分の苦境をユーモアを交えて話し、聞く人を重い気分にさせないセンスの良さがきちんとした英国人(decent people)にはあります。

<THE KISS>

ダイアナ元妃の最後の夏、マスコミのダイアナ報道は異常でした。ニューススタンドには連日、一面にダイアナの写真とセンセーショナルな見出しが載ったタブロイド紙が並んでいました。

筆者は「よく飽きずにやるわねー」ぐらいに思っていましたが、ある日、ニューススタンドでこれを見たときは、さすがに「Rubbish!  So low! (あまりに下品! 低俗すぎる!)」と思った覚えがあります。

「THE KISS」とフォントサイズ500ぐらいの大きな文字での見出しと共に、ダイアナ元妃と 交際相手と言われたドディ・アルファイド氏の写真がタブロイド紙の一面に載っていました。

「A KISS」ではなく「THE KISS」です。この不定冠詞「THE」が意味するところは「世界中が待ち望んでいた、ダイアナ元妃がチャールズ皇太子以外の男性とkissする決定的瞬間」。野次馬根性ここに極まれり!の見出しです。大きなお世話ですが、あきれ果てました。

<Curiosity killed the cat>

狂気じみた報道合戦の結果は、みなさんご存じの通りです。

1997年8月31日、筆者が日本の母に電話で起こされテレビをつけると、コメンテーターが鎮痛な面持ちでダイアナ元妃死去を伝えていました。

「We woke up this morning to a very sad news. We do not want believe this, but yes, this is true. Princes Diana died today in Paris…..」

 

好奇心は猫をも殺す。

これはイギリスことわざ元になっています。好奇心が強すぎると身を滅ぼすことになりかねないという意味です。古くからイギリスでは猫に九生あり「Cat has nine lives」という表現があり、そのでさえ好奇心をもつと危険であるため、人間であれば更に危険であるという意味も含んでいます。

パパラッチがダイアナ元妃を追いかけまわした結果、彼女が命を落としただけでなく、パパラッチにとってもダイアナという「メシの種」を失ってしまったという結末は、まさに「Curiosity killed the cat」ではないでしょうか?

<oh no!>

1997年9月1日月曜日、筆者が職場に行くと、フロアの皆やはりとても静かでした。

シーンとしたフロアでしばらくすると、同僚が突然「Oh no! 」と声を上げました。

「Oh no! Its’ Saturday…」

ダイアナ元妃の葬儀が9月6日土曜日に決まったことが王室から発表され、平日の葬儀で国民の休日になることを期待していた同僚は、休みになるあてが外れてがっかりしたのでした…。

こういう人はいたものの、おしなべて英国中が悲しみにくれたことは確かです。

皆さんも映像等でご覧になったことがあるかと思いますが、ダイアナ元妃が住んでいたロンドンのケンジントン宮殿正門前にはおびただしい数の花束や妃の写真が置かれ、人々がその前で涙にくれていました。

みな花束を買い求めてケンジントン宮殿に向かうなか、普段は花束を売っていない店まで花束を売っていのを筆者は見逃しませんでしたよ!

<irony >

1997年9月6日。ダイアナ元妃の葬儀では、元妃の弟 チャールズ・スペンサー伯爵が姉にささげる弔辞を読みました。

非常に長い弔辞でしたが、一語一句に姉ダイアナに対する思いが溢れ、テレビを通して聞き入ってしまいました(東京オリンピックの開会式閉会式での某会長たちのスピーチとは比べものにならないような、聞く人の心を揺さぶるものだったと思います)。

スペンサー伯爵の弔辞で特に印象に残ったものを、以下にご紹介します。

「Diana was the very essence of compassion, of duty, of style, of beauty. All over the world she was a symbol of selfless humanity」(ダイアナは彼女の行動、生き方、人間としての尊さからみて、まさに世界中の人々の心に寄り添う人でした)ここでもダイアナ元妃を象徴する言葉としてcompassionが出てきました。

「It is a point to remember that of all the ironies about Diana, perhaps the greatest was this — a girl given the name of the ancient goddess of hunting was, in the end, the most hunted person of the modern age」(様々な不条理がダイアナを苦しめましたが、一番の皮肉は、狩猟の女神である「(Diana)ディアーナ」にちなんだダイアナという名前を持つ彼女が、現代において最大の“狩猟”の対象(パパラッチの標的)となったことです)

<I do not know…>

葬儀前のある日、夕方のテレビ番組に、ダイアナ元妃と同乗した交通事故で死亡したドディ・アルファイドの父、モハメッド・アルファイド氏(エジプト人の大富豪)とダイアナ元妃の叔母(だったと思います)が出演しました。

最後にモハメッド・アルファイド氏が「Lady Diana and my son Dodi loved each other」と言うと、叔母の女性の目が「何を言ってるのかしら、この人!」というように一瞬天を仰ぎ、こう言いました。「I do not know(それに関してはわかりませんわ)」。

美しく髪をセットした上品な姿で、上品極まりないスタッカートが効いたブリティッシュアクセントで微笑みながら言い放ったこの時の彼女は、「英国上流階級で白人のダイアナが中東の男性を本気で愛するなんてありえないわ」という思いを言外に含ませていて、筆者は「あらあら、露骨だこと」と苦笑したことを覚えています。

同時に、彼女のやんわりした反論を受け流したモハメッド・アルファイド氏の強さにも驚きました。24年たった今も鮮明に記憶が蘇る1997年の夏です。

 

By Acco
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ライターAccoのプロフィール
英国で経営学および開発経済学修士号取得後、ロンドンのシティ(金融街)で勤務。その後帰国し外国通信社で金融経済記者として報道に携わる。米系格付け機関、証券会社調査部で金融・経済を中心にライティング、エディティング、翻訳に従事。

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