シリーズ「ニュース記事を読みこなす」①

 

 

英語のニュース記事は、きちんと論理立てて書かれているため英語学習の教材としても最適です。

 

しかしいざ読もうとした時、見出し(タイトル)を見ただけで何だかよくわからないということもあります。見出しの意味がわからず、本文まで読み進めることなく挫折してしまうことも……。

 

実は英文のニュース記事の見出しには、独特のルールがあります。見出しは記事の要点を短い文字数の中で簡潔明瞭に伝えなければいけないため、普通の英語とは違う文法がいくつかあるのです。

 

見出しで用いられる「特殊な文法」ともいえるものは主に以下の6つです。

  1. 現在形が使われている場合:実際の意味は、過去形か現在完了形である。
  2. 過去分詞が使われている場合:実際の意味は、過去形の受動態か現在完了形の受動態である。
  3. to不定詞が使われている場合:実際の意味は、未来を表している。
  4. 現在分詞が使われている場合:実際の意味は、現在進行形または未来を表す。
  5. a、an、the(冠詞)は省かれることがよくある。
  6. 各単語の最初を大文字にすることがある。

 

見出しを読みこなすためには、これらのルールを理解しておくことが大切です。では、順番に見ていきましょう。

(1)現在形が使われている場合

英文ニュース記事の見出しでは、動詞の現在形が使われているのを多く見かけます。しかしその実際の意味は現在形の意味ではありません。見出しの中の動詞が現在形の場合は、実際の意味は、過去形か現在完了形です。つまり「〜した」という、すでに起きた出来事を示します。

 

例:Conor McGregor and Machine Gun Kelly get into fight on VMAs red carpet

Conor McGregorとMachine Gun Kellyは「MTV Video Music Awards 2021(VMAs)」のレッドカーペット上で喧嘩になりました。

参考引用:Page Six  Sep. 12, 2021

https://pagesix.com/2021/09/12/conor-mcgregor-and-machine-gun-kelly-get-into-fight-on-vmas-red-carpet/?utm_campaign=SocialFlow&utm_source=NYPTwitter&utm_medium=SocialFlow

 

例に挙げた見出しを普通の英文法に則った形に直すと、以下のようになります。

Conor McGregor and Machine Gun Kelly got into fight on VMAs red carpet.

 

本文を読み進めると見出しと同じ意味が過去形で書かれています。このように、見出しでよく意味がわからない場合、本文を読むと理解できることも少なくありません。

(2)過去分詞が使われている場合

見出しに見た感じ過去形が使われている時、これは実は過去分詞です。過去分詞が使われている時は、実際は受動態を表しています。過去形の受動態または現在完了の受動態です。受動態の「be動詞」が省略されていると考えることもできます(ただし、普通の文法と同様、過去分詞の形容詞的用法で使われている場合もあります。また、まれに過去形そのもののこともあります。)

 

例:Homeless veteran stabbed to death at encampment near VA in West L.A.

元軍人のホームレスが西ロサンゼルスにある退役軍人省近くの野営地で刺し殺されました。

 

参考引用:Los Angeles Times Sep. 15, 2021

https://www.latimes.com/california/story/2021-09-15/homeless-veteran-stabbed-to-death-near-west-la-va-in-an-encampment

 

これを普通の文の形に直すと下のようになります。

Homeless veteran was stabbed to death at encampment near VA in West L.A.

 

でもまだ何か少し変ですね。

これは(5)で述べますが、冠詞が省略されているからです。

新聞の上に立つ小さなビジネススーツ姿の人物のミニチュア模型。情報と経済を考えるイメージ。

(3)to不定詞が使われている場合

「to不定詞」が記事のタイトルの中で使われている場合は、実際の意味は未来を表します。

 

例:Australia to help some citizens leave China, quarantine them on Christmas Island.

オーストラリアは、市民が中国を離れるのを支援し、その人達をクリスマス島に隔離します。

参考引用:cna  Jan. 29, 2020

https://www.channelnewsasia.com/world/australia-evacuate-citizen-wuhan-quarantine-christmas-island-787886

 

例に挙げた見出しで使われている「to help」は、普通の文法で書くと以下のようになり、「未来」を表していることがわかります。

Australia is going to help some citizens leave China, quarantine them on Christmas Island.

 

(この部分は、「Australia is to help〜」というように、「be動詞+to不定詞」の形で「未来の予定」を表していると考えてもOKです。)

(4)現在分詞が使われている場合

記事タイトルの中に現在分詞が使われている場合は、現在進行形、または未来の意味を表しています。

 

例:President Trump visiting the US/ Mexico border today

トランプ大統領は本日、アメリカとメキシコの国境を訪問します(訪問しています)。

参考引用:WAAY31abc  10. Jan, 2019

https://www.waaytv.com/content/news/President-Trump-visiting-the-US-Mexico-border-today-504153321.html

 

例に挙げた見出しを普通の文章に直すと以下のようになります。

President Trump is visiting the US/ Mexico border today.

 

これは現在進行形です。「現在進行中のこと」あるいは「予定が決まっている未来のこと」を表します。

(5) a、an、the(冠詞)は省かれることがよくある。

(2)で出てきた見出しをもう一度書きます。

Homeless veteran stabbed to death at encampment near VA in West L.A.

↓

Homeless veteran was stabbed to death at encampment near VA in West L.A.

 

これでもまだ変な感じです。実は、本来付くべき「冠詞」が省略されているからです。ニュース記事の見出しでは、多くの場合、冠詞の「a」「an」や「the」は省かれます。

 

上の文に冠詞を補うと以下のようになります。

A homeless veteran was stabbed to death at an encampment near VA in West L.A.

(6)各単語の最初を大文字にすることがある。

ニュース記事の見出しの中では、冠詞以外の各単語の最初を大文字にすることがあります(一部の前置詞や接続詞は小文字のままの場合もあります)。慣れないとやや読みづらいです。

 

例:Stolen Puppy Happily Reunited With Heartbroken Homeless Man

盗まれた子犬が、幸いなことに、悲しみに暮れていたホームレスと再会しました。

参考引用:The Dodo Nov.20,2018

https://www.thedodo.com/stolen-dog-homeless-man-1389039461.html

 

この見出しをこれまでご紹介した見出しのルールも含めて考慮して普通の文に書き直すと、次のようになります。

 

A stolen puppy has been happily reunited with a heartbroken homeless man.

 

 

見出しが普通の英文になっていることも

 

ここまで、ニュース記事の見出しの独特の文法をご紹介してきましたが、すべてのニュース記事の見出しがこれに従っているわけではありません。ニュース記事の見出しでも、普通の英文法に則った、普通の文章になっていることもよくあります。

 

例:At Least 24 People and Millions of Animals Have Been Killed by Australia’s Bushfires

少なくとも24人と数百万もの動物がオーストラリアのブッシュファイアで犠牲となりました。

参考引用:TIME Jan. 7, 2020

https://time.com/5758186/australia-bushfire-size/

 

この見出しの場合、「各単語の最初を大文字にする」という見出し英語のルールを守っていますが、使われている動詞の時制は普通の英文法に従った時制を使っています。

まとめ

以上、簡単ですが英語ニュース記事の見出しのルールについて解説しました。またこれまで見てきた例文もそうですが、見出しにはピリオドも省略されていることがあります。これらが使われるかどうかは、新聞社や通信社のスタイルによって異なります。中には最後に紹介したようにほぼ普通の英文になっている見出しも少なくありません。

 

 

byあいんちゅ
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ライターあいんちゅのプロフィール
語学、海外トラベル系の雑誌やムックの企画と編集そして執筆を長年しています。元大学教員。書くことが好きで常に何か考えて、書いていないと落ち着かない性分です。還暦過ぎてからの留学を実現するために日々英語勉強中。

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