ニュアンスに合った言葉を選ぼう!
料金がかからない場合は「無償」、かかる場合は「有償」と言ったりします。
ただこの「無償」と「有償」という言葉には、いろいろなニュアンスがあり、英語にする場合、状況や場面によって使うべき語が異なってきます。
今回は、「無償」と「有償」を英語で表現する時、どのような場合はどのような言い方がいいのかについて、考えてみたいと思います。
「無償」を表す英語
「無償」には主として2つの意味があります。
「無料であること」を表す場合と、「見返りがないこと」を示す場合です。
後者の「見返りがないこと」では、例えば「無償の愛」などという表現をよく耳にすると思います。
ではこれらを英語にするとどのように表すことができるのでしょうか。
「無料である」の「無償」
最初の「無償」の意味は、「無料であること」です。
「〜が無料である」「〜がただだ」という表現は、日常会話でもよく使いますよね。
この場合、英語では、「free」や「gratis」といった言葉がよく使われます。
・free
「free」の形容詞としての意味の一つが「無料で」「ただで」です。
It says it’s free.
(無料って書いてあるよ。)
「It’s free.」「That’s free.」などで、「それはただです」ですね。
なお、上の例文中の「It says〜」は「〜と書いてある」という意味です。
また、「free of charge」で「無料で」という意味になります。
こちらもよく使われるフレーズです。このかたまりで副詞のようになるので、文にそのままくっつける形で使います。
This booklet is given out free of charge.
(このパンフレットは無料で配布されています。)
なお、この中に出てきている「charge」も、無料や有料であることを示す時によく使われる言葉です。
例えば、「charge」が動詞として使われる場合は「〜に課金する」といった意味になります。
You won’t be charged until 8 p.m.
(あなたは午後8時までは課金されません。= 午後8時までは無料ですよ。)
・gratis
「gratis」は形容詞または副詞として使われる言葉で、「無料で(の)」「無償で(の)」などの意味があります。
These foods were provided gratis.
(これらの食品は無料で提供された。)
「見返りがない」の「無償」
「見返りがない」という意味での「無償」は、給料などのお金を含む「具体的な見返り」について述べる場合と、より「抽象的な見返り」について述べる場合とがあります。
「無料」の場合は「free」などを使えばOKなのに対して、こちらの「見返りがない」という意味の時は、その状況に応じた表現を考える必要があります。
・具体的な見返りについて述べる時
例えば、「無償で働く」というような時です。
この場合は「無報酬で」という意味の「for nothing」が使えます。「work for nothing」で「無報酬で働く」という意味になります。
I worked for nothing for a week.
(私は1週間、無報酬で働いた。)
「All that work for nothing. 」という英語表現があります。直訳すると「何の報酬にもならないものすべて」といった意味ですが、ことわざの「骨折り損のくたびれもうけ」のニュアンスにもなります。覚えておくと便利ですよ。
・抽象的な見返りについて述べる時
こちらも状況に応じて適切な言葉を選択する必要があります。
例えば、「無償の愛」というような「無償」について考えてみましょう。
「無償の愛」の「無償」を表現する語には「unconditional」「selfless」などがあります。どちらがいいかは、以下のように、自分が表現したいニュアンスから考えます。
「unconditional」には「無条件の」「無制限の」「完全な」という意味があります。こうしたニュアンスでの「無償の愛」は「unconditional love」と表現できます。
My parents gave me unconditional love.
(私の両親は無償の愛をくれました。)
「selfless」は「私心のない」「無私無欲の」といった意味です。「selfless love」で、こうしたニュアンスでの「無償の愛」です。
She shows her son selfless love.
(彼女は息子に無償の愛をそそいでいる。)
「有償」の英語
次は「有償」です。「無償」にいくつかのニュアンスがあるのとは異なり、「有償」はもっぱら「有料である」という意味で使われることが多いです。
「有料である」の「有償」
「入場は有料」「配送料は有料」「有料コンテンツ」「有料サイト」などというように、「無料」と並んで「有料」も、私たちの日常生活の中で頻繁に使われる言葉の一つです。
「有料である」ことを表現する場合によく使われるのが「charge」と「pay」です。
・「charge」を使った表現
「有料」であることを表す英語としては、「無料」のところでも少し解説した「charge」がよく使われます。
「charge」には名詞としての使い方と動詞としての使い方があります。名詞の場合は「課金」「請求」といった意味、動詞の場合は「課金する」などの意味です。
・telephone charges:電話代
・fee-charging contents:有料コンテンツ
・a fee-charging site:有料サイト
Is there a charge for the exhibition?
(その展覧会は有料ですか。)
The company makes an extra charge for delivery.
(その会社は配達に対して別料金を請求します。)
You will be charged if you park your car for more than 3 hours.
(3時間を超えて駐車すると料金が取られます。)
ちなみに、「charge」には「カード払い」という意味もあります。レストランなどで支払いをする時にお店の人がよく次のように言ったりします。
Cash or charge?
(現金にしますか? カードにしますか?)
・「pay」を使った表現
「pay」も「有料である」ことを表現する時によく使われる言葉です。「支払う」という意味の動詞として使われたり、「支払い」「給料」といった意味の名詞として使われたりします。また、名詞の「pay」には「有料の」という形容詞的な使い方もあります。
・pay toilet:有料トイレ
・pay area:有料エリア
・pay nursing home:有料老人ホーム
・pay program:有料番組
You have to pay here.
(あなたはここでは支払う必要があります。=ここは有料です。)
Do we have to pay to go in?
(入館は有料ですか。)
You have to pay for another cup of tea.
(お茶のおかわりは有料です。)
なお、日本語の「有償」が「報酬のある」という意味で使われることもあります。
I participated in the program as a paid volunteer.
(私は有償ボランティアとしてそのプログラムに参加しました。)
上の「paid volunteer」の「paid」は、「給料が支払われる」という意味です。
まとめ
今回は「無償」と「有償」に関わるさまざまな英語表現について解説しました。
「無料」や「有料」というのは日常生活でも毎日のように使う言葉。
英語がさっと口から出るように、繰り返し音読練習しましょう。
では、次回もお楽しみに!
byあいんちゅ
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ライターあいんちゅのプロフィール
語学、海外トラベル系の雑誌やムックの企画と編集そして執筆を長年しています。元大学教員。書くことが好きで常に何か考えて、書いていないと落ち着かない性分です。還暦過ぎてからの留学を実現するために日々英語勉強中。