動詞の過去分詞と現在分詞は形容詞と同じ
動詞には「-ed」や「-ing」がついて派生した形、つまり過去分詞や現在分詞がありますが、これらは形容詞の働きをします(動詞が不規則変化する場合は、過去分詞は「-ed」ではなく、全然違うつづりになったりしますね)。こうした、形容詞の働きをする過去分詞や現在分詞は、「ed形容詞」「ing形容詞」とも言われます。「分詞形容詞」と呼ばれることもありますが、ここでは「ed形容詞」、「ing形容詞」と呼びたいと思います。
「ed形容詞」や「ing形容詞」には身近で便利なものが多いのですが、使い方を間違えると、言いたいことと逆の意味になったり、全く異なる意味になったりしてしまいますので注意が必要です。
いろいろな「ed形容詞」と「ing形容詞」がありますが、例えば、よく使われるのは以下のようなものです。意味や例文はこの後説明します。
・bored – boring
・excited – exciting
・tired – tiring
・surprised – surprising
・shocked – shocking
・embarrassed – embarrassing
・annoyed – annoying
これらは、もともとは過去分詞と現在分詞なのですが、辞書によってはすでに「形容詞」として項目を独立させている場合もあります。ちなみに私が持っている辞書では、上記の各単語はすでに「形容詞」として紹介されています。
また上のものとはちょっと違うパターンのものもあります。例えば、「〜を怖がらせる」や「おびえさせる」という意味の動詞「scare」には、これから派生した「ed形容詞」として「scared」がありますが、「ing形容詞」の方は「-ing」がつくのではなく「scary」となります。他にも「-ing」とならない形容詞には、「stressful」「addictive」などがあります。まだまだいろいろありますので、自分なりにまとめておくと便利ですよ。
「ed形容詞」と「ing形容詞」の使い分け
さて、では「ed形容詞」と「ing形容詞」はどのように使い分けるのでしょうか。
例外もありますが、今まで例に挙げた形容詞は、主として「気持ち」や「感情」を表すものです。そして、もともとの動詞は、「(人に)〜させる」という意味のものばかりです。例えば、「bore」は「退屈させる」、「excite」は「興奮させる」、「tire」は「疲れさせる」、「surprise」は「驚かせる」といった具合です。
そしてこれらから派生した形容詞のうち、「ed形容詞」は「受け身」の意味になります。「bored」ならば「退屈させられている」つまり「退屈している」、「surprised」ならば「驚かされている」つまり「驚いている」というような意味になります。
一方、「ing形容詞」ならば、例えば「boring」は「(人を)退屈させるような」、「tiring」は「(人を)疲れさせるような」、「surprising」だと「(人を)驚かせるような」といった意味になります。
I am bored.
(私は退屈している。)
I am boring.
(私は(周りの人を)退屈させる人間だ。)
このようになります。つまり「ed形容詞」は、「その気持ちを感じている人」「その感情を持っている人」を表現する場合に使います。一方、「ing形容詞」は「人をその気持ちにさせる物、または人」を表現する場合に使います。
さて、ちょっとややこしいかもしれないので、「ed形容詞」と「ing形容詞」の使い分けの、別の区別の仕方を考えてみましょう。
「気持ちを感じる」のは「人」です。「物事」は気持ちを感じることができません。ということで、「物事」が主語の場合は普通「ed形容詞」は使いません。そして、「物事」を主語にして「ing形容詞」を使うと、ある「物事」がそれを取り巻く人に何らかのことを「感じさせている」という意味になります。
一方、「人が」主語の場合は、「その人が自分で感じている」のか、「他の人をそう感じさせている」のか、両方の可能性があります。ですので、「人」が主語の場合は「ed形容詞」と「ing形容詞」の両方が使われる可能性があり、意味が大きく異なってきます。
以下、具体例を挙げながら説明していきましょう。

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「物」や「事」が主語の場合は普通「ing形容詞」が使われる
再び「bore」の例を挙げて説明してみましょう。
The book is boring.
(その本はつまらない。)
The job is really boring.
(その仕事は本当に退屈でつまらない。)
もし上記の例文が、「bored」になると、「本自身がつまらなく感じている」「仕事が退屈している」というような意味になってしまい、おかしくなってしまいます。「本」や「仕事」が、気持ちを感じて、「あ〜、退屈だ」「あ〜あ、つまんないな」とは思いませんよね。
「本」や「仕事」は、「人」を「つまらなくさせる」「退屈にさせる」という意味で「-ing」をつけた「boring」を使います。
The trip was exciting.
(その旅行はとても楽しかった。)
My job is really tiring.
(私の仕事は本当に疲れる仕事です。)
The news was very surprising.
(そのニュースにはとても驚かされた。)
The announcement was a shocking.
(その発表は衝撃的だった。)
That advertisement was so embarrassing.
(あの広告はとても恥ずかしかった。)
That music is annoying.
(その音楽はイライラする。)
The horror movie is scary.
(そのホラームービーは怖い。)

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「人」が主語の場合は「ed形容詞」と「ing形容詞」を使い分ける
「人」の場合は、「気持ちを感じることもできる」し、また「他の人をその気持ちにさせることもできる」という両方がありますので、「ed形容詞」と「ing形容詞」を使い分ける必要があります。
例を見てみましょう。
(1)She is tired.
(2)She is tiring.
(1)の「She is tired.」は「彼女は疲れている。」すなわち「彼女自身が疲れていると感じている」という「その人(主語)の気持ち」を表しています。一方、(2)の「She is tiring.」は、「彼女は周りを疲れさせる。」という、言い換えるならば「一緒にいて周りが疲れる人」のような意味になります。
このように「人」が主語の場合は「ed形容詞」と「ing形容詞」の両方が使え、意味がまったく異なってくるので、注意が必要です。
では続けて別の例を見ていきしょう。ペアになっている両方の文をよく見比べ、また何度も音読して、ニュアンスの違いを感じ取りましょう。
She is bored.
(彼女は退屈している。)
She is boring.
(彼女は周りを退屈させている。=彼女は一緒にいて退屈な人だ。)
I am excited.
(私はわくわくしています。)
I am exciting.
(私は周りをわくわくさせている。=私は一緒にいてわくわくする人です。)
I am surprised.
(私は驚いている。)
I am surprising.
(私は周りを驚かせている。=私は一緒にいて周りを驚かせる人です。)
I was shocked.
(私は驚いた。)
I was shocking.
(私は周りにショックを与えた。)
He was embarrassed.
(彼は恥ずかしかった。)
He was embarrassing.
(彼は周りを恥ずかしがらせた。=彼は一緒にいて恥ずかしい人だった。)
She is annoyed.
(彼女はイライラしている。)
She is annoying.
(彼女は周囲をイライラさせている。=彼女と一緒にいるとイライラする。)
He is scared.
(彼は怖がっています。)
He is scary.
(彼は怖いです。=彼は一緒にいて怖い人です。)
まとめ
いかがでしたか。
最初は使い分けに混乱してしまうこともあるかもしれませんが、何度も練習して間違えないようにしたいですね。
byあいんちゅ
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ライターあいんちゅのプロフィール
語学、海外トラベル系の雑誌やムックの企画と編集そして執筆を長年しています。元大学教員。書くことが好きで常に何か考えて、書いていないと落ち着かない性分です。還暦過ぎてからの留学を実現するために日々英語勉強中。
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