和製英語について
こんにちは。
和製英語。みなさんもよくご存じですよね?
古くはメリケン粉*、ワイシャツ**など、初めて耳にする英語が正確に聞き取れず、聞こえた音のままに定着して今に至った、ある意味「微笑ましい」ものから、「サラリーマン」「シルバーシート」など、それらしい英語の単語で日本人が勝手に作ってしまったものまで、けっこうたくさんあります。
携帯電話やデジタル放送の規格やパーソナルコンピュータなどの工業製品規格だけでなく、英語までも(!)日本でしか通用しないものは少なくありません。このように日本がなにかと「ガラパゴス化」しやすいのは島国だからでしょうか?
*「American(アメリカン)」が幕末~明治時代の日本人には「メリケン」としか聞こえなかったことは有名ですね。
**「White shirt(ホワイト シャートゥッ)」が同じく「ワイ シャツ」に聞こえたそうです。
<英語のガラパゴス化が加速?>
和製英語、つまり日本でしか通用しない英語があること自体はそんなに目くじら立てるほどのことではないとは思いつつ、このことが日本人の英語力および外的交流の素地が幕末~明治時代からあまり進歩せず、延いてはいつまでたっても向上しない理由のひとつなのではないかと思わずにはいられません。
最近定着してきた和製英語のいくつかについては、いわゆる日本の「知識層」が積極的に使っているものもあり、個人的にはさらに複雑な心境です。というか、使うのはやめてほしいと思います。
ちなみに「知識層」と硬い表現にしましたが、和製英語では「インテリ」と言いますね。厳密には「インテリゲンツィヤ」というロシア語から生まれた和製ロシア語のようです。英語では「the intellectual class」です。
<シフトチェンジ「shift change」>
その日本の「インテリ(知識層)」が率先して使い始めた印象が強いのが「シフトチェンジ」という言葉です。ここ数年で目にしたり、耳にしたりすることが多くなりました。
方向・方針転換、 軌道修正という意味で使われるようです。和製英語であることはもちろん、とても違和感があります。そもそも、「シフト」も「チェンジ」も「変わる」という意味があり、「シフトチェンジ」と同じ意味の言葉をつなげている重複表現ではないでしょうか? また、「勤務時間などのシフトを替える」という意味にもとられてしまいそうです。
「シフトチェンジ」という和製英語は、時代など「大きな変化が起きる」という意味で使われていると思われますが、英語ではさしずめ「change one’s ground(立ち位置が根本的に変わる)」といったところでしょうか?
筆者がエディターで従事していた某金融機関の調査部エコノミストが、レポート中でこの「シフトチェンジ」を使っていました。やんわり指摘したところ、頑なに修正することを拒否されたのでそのままにしましたが、国内では名の知られた「知識層」であるエコノミストが、間違った英語の使い方をしていて平気でいることが残念に思えてなりませんでした。
そういう「知識層」の人たちが、口を開けば「グローバル・エコノミーがどうのこうの」としたり顔で言っているわけです。まずは言葉の選択をグローバル基準に合わせていただきたいものです。
<ボリューミー「bolumy」>
「ボリューミー」。同じくここ数年、テレビなどで聞くようになりました。「ボリュームがある」を横文字風に言った和製英語です。英語では「量が多い」と 表現 する 形容詞 は「 voluminous」 。
「ボリューミー」のオシャレな音と比べると「ボリュミナス」は今ひとつ音的にイケていませんし言いづらいので日本語に定着しないのはわかりますが、勝手に造語するという暴挙に出ることもないのでは?と個人的に思います。
<マイナス「minus」>
前述の2つと比べて、「マイナス」という言葉はずいぶん前から日本語の中に定着していますね。「マイナスイメージ(minus image)」など「よくない」という意味で使われることが多いかと思いますが、これも和製英語です。
英語では「negative impression」が適当です。
では「プラスイメージ」は? はい、「positive impression」ですね。
<和製英語の乱用は危険?>
ご紹介した和製英語はほんの一部です。他にも「ノートパソコン(英語ではlaptop computer、またはpersonal computer)」「タレント(英語ではa TV personality)」など色々あります。
和製英語とわかっている上で使い、「英語」を話すときに正しい「英語」の言葉で話すというように使い分けられれば問題ありませんが、いずれにしても和製英語は「英語」という範疇では「間違っている」言葉ですので、十分に留意しておくことが必要なのではないでしょうか。
個人的には和製英語の乱用は危険だと思っています。
できれば、きちんとした英語の言葉を学んで、日本における英語のガラパゴス化を阻止したいものです。
By Acco
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ライターAccoのプロフィール
英国で経営学および開発経済学修士号取得後、ロンドンのシティ(金融街)で勤務。その後帰国し外国通信社で金融経済記者として報道に携わる。米系格付け機関、証券会社調査部で金融・経済を中心にライティング、エディティング、翻訳に従事。
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