「英語ができる」ということ
筆者には20代の甥がいます。
彼は英語ができます。彼が公言したわけではありませんが、少なくとも自分ではそういう意識でいるはずです。
彼は両親とも日本人です。帰国子女ではありません。英語圏への留学経験もありません。ごく普通に中学校で初めて英語を勉強し始め、高校で大学の受験英語を勉強した、ごく普通の日本人です。学校の授業で英語が特に好きだったわけでも、得意だったわけでもありません。
でもある経験を機に、彼は「自分は英語ができる」という意識になったと思います。
「英語ができる」という意識が人を育てる
甥が大学の1年目を終えた春休み、筆者が、筆者の友人であるマレーシア華僑が経営するインターナショナルスクールに彼を送り込んだのです。
最初、マレーシアに行くことを打診したとき、案の定、甥はまったく乗り気ではありませんでした。「同じマレーシアに行くなら、普通に旅行とかで行った方がいい」。とかなんとかのたまって抵抗しましたが、「友達も誘えばいい」「最初の1週間は一緒に行くから」となだめすかし、声をかけた甥の友達が二つ返事で一緒に行くと言ってくれたということもあり、3月某日、筆者と甥、友達の3人で機上の人となりました。
結果から先に言いますと、大成功でした!
まず、経由したシンガポールのチャンギ空港で様々な人種の人たちが行き交うのを目にして、甥は大いに刺激を受けたようです。
インターナショナルスクールでは「ティーチング・トレーナー」なる分不相応なIDカードをもらって得意げに首から下げて、毎日スクール内をうろついていただけの甥と友達は、生徒たちに大人気だったようです。その生徒たちとは恐らく一緒に遊んだだけなのでしょうが、どうにかこうにか意思の疎通ができた甥と友達は、すっかり「自分は英語ができる」と「勘違い」しました。
最初の拒絶がウソのように、3週間後に上機嫌で帰国した甥は家に着くなり母親(筆者の姉)に「また行ってもいいかな?」と聞いたそうです。その後、甥は大学の休みの度にマレーシアに行き、インターナショナルスクールですっかり知られた顔になりました。
そして、本人が気づいているかはわかりませんが、彼はこれらの滞在を通じて自分の英語に自信を持っていったと思います。
最初は勘違いでも構わない
ここまで読んでくださったみなさんのなかには、彼が本当に英語ができるようになったのか疑問に思う方もいらっしゃると思います。そう、「勘違い」から始まっていますから。
答えはイエスであり、ノーでもあります。
もちろん甥の英語がネイティブ並みになったわけではありません。
でも「英語ができる」という定義や評価は、相対的はものではなく絶対的なものであることも事実だと思います。
テストのスコアは参考値
そもそも「英語ができる」とはどういうことでしょうか? TOEICで満点を取ること? 受験英語の模試判定で偏差値75を出すこと? 帰国子女や留学帰りの人のように流暢にしゃべること?
確かに英語のテストでは定量的に「英語力」が数値化されます。流暢に英語が話せれば英語ができるように見えます。でも、それらをもってどこか世界的な評価機関が「あなたは英語ができると証明します」と認定してくれるわけではありません。
英語のテストで満点を取ろうが、英語についての言語学論文を書こうが、ネイティブだろうが、英語が完璧にできるという保証はどこにも存在しないのです。
自分は「英語ができる」と言い聞かせて一歩を踏み出そう
ということは、裏を返せば、「英語ができます」と宣言してしまえばできることになるのではないでしょうか? そう、要は言っちゃったもん勝ちです。「私は英語ができます」と。
「そんなこと、とても言えない!」と思いますか? いいえ、言えます。学校の授業としてならいざ知らず、実生活での英語に正しいも間違いもありません。少なくともバーバルなコミュニケーションにおいては、意思疎通ができればいいと思いませんか?
そして意思疎通には実践あるのみです!
「文法を完璧に覚えてからでないと」「語彙力がないから」「発音をもう少し練習しないと」などなど…。先延ばしにする言い訳はもうやめませんか。まるで、実際はもうかなり運転がうまいのに、自動車教習所でいつまでも仮免許のままで本試験を受けようとしない人みたいではありませんか。路上に出ない限り、筆記試験が満点でも教習所内の道を完璧に運転できても意味がありません。
そもそも英語ネイティブが皆、文法を完璧に知っているでしょうか? 知らないと思います。
また、日本人の発音のクセなどとるに足らないほど、クセが強い/訛りのある英語を話す人(たとえばインドの人など。すみません、他意はありません)もたくさんいます。
間違った文法で英語を話したら、クセのある発音や訛りで英語を話したら、逮捕でもされるのでしょうか?されませんね。失うものは何もありません。話さない方が機会損失です。
ちなみにマレーシアの経験で開眼した甥は、同じく筆者の知人であるデンマーク人を訪ねてコペンハーゲンに行ったり、大学の海外研修に応募して米国に行ったりなど、積極的に「路上」に出て運転、もとい、英語を実践しました。筆者は他人の英語を評することなどとてもできませんが、甥に関してはまあ、“路上で運転”しても事故は起こさないレベルなのではと思っています。はい、身内贔屓です(笑)。
By Acco
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