「only」はその位置で意味が変わる!
ある日、私が以前住んでいたオーストラリアのとあるスーパーマーケットからの、新型コロナ対策についてのメールが届きました。
冒頭に、
We can only do this together.
とあり、以下、挨拶があって、その下に、具体的なウイルス対策がいくつか挙げてあります。
さて、「We can only do this together.」の意味がよく分かりません。使っているのは簡単な単語だけなのに。特に「only」はどう解釈すればいいのでしょうか。
Google翻訳にかけてみると、「これは一緒にしかできません。」と出ました。
なるほど! 最近の自動翻訳、優秀!
確かに、もし「We can only do this now.」なら「これは今しかできません。」と、特に疑問を感じず、すぐに翻訳できてしまうかもです。
「We can only do this together.」は「now」を「together」に代えただけと考えれば、「これは一緒にしかできません。」ですね。納得。
そして「副詞onlyが文の中で置かれる位置」についていろいろ調べてみましたが、どうも難しい。 そこで、今回は「only」の位置について、あらためて確認していきたいと思います。
単語としての「only」の中心的な意味は「〜だけ」「〜のみ」というような、何かを限定する感じですが、文章のどこに位置するかで文全体の意味が異なってきます。大きく分けて、①主語を修飾する場合、②主語以外の語句を修飾する場合に分かれます。
それでは具体的に見ていきましょう。
①主語を修飾する場合
まず初めに主語を修飾する場合を説明したいと思います。
Only I knew the truth.
(私だけが真実を知っていた。)
Only she has a car.
(彼女だけが車を持っている。)
Only he lost his notebook.
(彼だけがノートをなくした。)
上の例文のように主語を修飾する時は、主語の前に「only」が置かれ、「(主語)だけが〜」という意味になります。「Only I」で「私だけが」、「Only she」で「彼女だけが」、「Only he」で「彼だけが」となります。
②主語以外の語句を修飾する場合
主語以外の語句を修飾する場合は、「only」は「一般動詞の前」か「be動詞や助動詞の後」に置かれます。ただし、後述するように、書き言葉の場合、「only」が置かれる場所が変わる場合もあります。
・「一般動詞の前」に「only」が置かれる場合
I only went to New York on my business trip.
(出張ではニューヨークだけを訪れた。)
このように、「ニューヨークだけ」と言いたい場合は、「only」は動詞「visited」の前に入れます。「I visited only New York on my business trip.」というように「only New York」とするのは一般的ではありません。
She only bought the book.
(彼女はその本だけを買った。)
Nancy only eats vegetables.
(ナンシーは野菜だけを食べる。)
・「be動詞や助動詞の後」に「only」が置かれる場合
文の中に「be動詞」や「助動詞」がある場合は、「only」は普通、「be動詞の後」あるいは「助動詞の後」に置きます。
I’m only going to go to France.
(私はフランスだけに行く予定です。)
I’m only taking a thesis writing class.
(私は論文作成の授業だけ履修しています。)
The ticket is only for university students.
(そのチケットは大学生しか使えない。)
I can only speak Japanese.
(私は日本語しか話せません。)
You can only eat these fruits.
(あなたはこれらの果物だけ食べることができる。)
・「only」がどこを修飾しているのかわかりにくい場合
文の後半部分に複数の要素があると、「only」がどれを修飾しているのかやや曖昧になる場合もあります。
その場合は文脈から判断するのが基本です。また、会話では修飾する語を強く発音することでわかりやすくしたりすることもあります。
例えば、
I’ve only visited New York once.
という文の場合、「私は一度だけニューヨークを訪れたことがある」というように「一度だけ」と言いたいならば、「once」をやや強調して発音します。
もっとも、この文でたとえ「New York」を強く発音しても「once」という言葉があるため、文全体の意味を考慮すると「ニューヨークにだけ」という意味にとることは、前後の文にもよりますが、あまり一般的ではありません。やはり文脈から判断するのが最も大切です。
He only study English once a week.
(彼は週に一度しか英語を勉強しない。)
これも、「彼は、週に一度、英語しか勉強しない」という訳ができなくもないですが、あまりそういう状況は想定しにくいかと思います。
I only have one pen now.
(私は今1本しかペンを持っていない。)
これも、「私は、今しか1本のペンを持っていない」とも考えられますが、意味がわかりにくいですね。
もう少し複雑な場合もあります。
She only ate vegetables when her mother was at home.
この文の場合、2通りの意味の可能性があります。
(a) 母親が家にいる時、彼女は野菜だけを食べた。
(b) 母親が家にいる時だけ、彼女は野菜を食べた。
この2つは、似ていますが、意味がだいぶ違います。
そしてやはり、どちらの意味が適切であるかは、前後の会話の内容など、全体の文脈で判断するしかありません。このような文の場合は、発音の強弱で区別するのは難しいです。
・書き言葉の場合
書き言葉の場合も、上のように「一般動詞の前」か「be動詞や助動詞の後」に置けばいいのですが、修飾する語句の直前に「only」を置く場合もあります。
I eat only vegetables.
(私は野菜しか食べない。)
このような使い方は日本の教科書などではよく書いてあったりするのですが、そしてまた日本人にはわかりやすい感じがするのですが、ネイティブはあまり使わないようです。古めの書き言葉に多いとされています。
③その他
次に、「only」が上に紹介した「〜だけ」とはちょっと違う意味で使われる場合を見てみましょう。
・「ほんの〜にすぎない」などの意味の「only」
He is only a child.
(彼はまだ子どもだ。)
Don’ be so angry! I’m only joking.
(そんな怒んなよ!ほんの冗談だって。)
ここでの「only」は「ほんの〜にすぎない」「ただの〜にすぎない」「単に〜にすぎない」という意味になります。
・「一人だけの」という意味の「only」
Nancy is an only child.
(ナンシーは一人っ子だ。)
ここでの「only」は、ほかにきょうだいがいないという意味の「一人だけの」「一人っ子の」という意味になります。この場合の「only」は形容詞になります。
・「唯一の」という意味の「only」
He is the only person I know who can speak Chinese.
(彼は私が知っている人の中で中国語が話せる唯一の人です。)
Tom was the only student in the classroom who knew the answer.
(トムはクラスで答えがわかったただ1人の生徒でした。)
ここでの「only」は「唯一の」「ただ一人の」「ただ一つの」などの意味になります。この「only」もやはり形容詞です。
・名詞の後に来る「only」
看板や案内などでよく見かける表現です。
名詞の後に置かれて「〜に限る」「〜専用」というような意味になります。
Women Only
(女性専用)
Staff Only
(関係者以外立ち入り禁止)
まとめ
いかがでしたか。
簡単そうでけっこうややこしい「only」。上の①の、「only」を主語の前に置く使い方は比較的はっきりしていますが、それ以外の場合は、話の流れなどで意味を判断していく必要があることもあります。
どの場所に置いてどう使えばどんな意味になるかをしっかりと把握して、英会話に活用してみてください。
byあいんちゅ
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ライターあいんちゅのプロフィール
語学、海外トラベル系の雑誌やムックの企画と編集そして執筆を長年しています。元大学教員。書くことが好きで常に何か考えて、書いていないと落ち着かない性分です。還暦過ぎてからの留学を実現するために日々英語勉強中。
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