「ever」を使いこなそう
簡単そうな単語なのに、あらためて考えると使い方がよくわからない言葉ってありますよね。「ever」もその一つではないでしょうか。
「ever」と聞いてまず思い出すのは、現在完了形の経験用法での使い方かもしれません。例えば、「Have you ever been to Hokkaido?(あなたはこれまでに北海道に行ったことがありますか?)」といった文で、「これまでに」や「かつて」などの意味で使われている「ever」は比較的なじみがあるのではないかと思います。
でも「ever」には、そのほかにもいろいろな使い方があります。
「ever」の基本的な役割は「強調」です。今回は、「ever」のたくさんの使い方の中から、日常会話でもよく使われる、①「never」を強調する「ever」、②比較級や最上級を強調する「ever」、そして、③「first」「last」「only」を強調する「ever」の、3つの使い方に絞ってご紹介しましょう。
①「never」を強調する「ever」
オーストラリアの子ども向け人気テレビ番組の一つが、1992年から放映された『Bananas in Pyjamas』(バナナズ・イン・パジャマズ)です。この番組、日本でも1990年代前半にNHKで放送されたようです。YouTubeで検索すると見られますのでぜひチェックしてみてくださいね。ちなみにバナナの着ぐるみを着た実写版もありますが、私はアニメ版がかわいくて好きです。
話がそれましたが、この番組の主人公は「カドルタウン」という町に住むパジャマ姿のバナナとその仲間たち。多くは動物です。仲間にはヒツジのドリーがいます。そのドリーの口癖が「Never ever!」なのです。印象的かつなんだか言いやすいフレーズなので、しばらくの間、頭から離れなくなったのを覚えています。
「Never ever」の意味は「何があっても〜ない」「今までもこれからも絶対に〜ない」、「もう二度と〜ない」、「絶対にありえない」等々です。
「決して〜ない」という「never」を「ever」で強調しています。会話ではよく使われます。
I’ll never ever date her again.
(彼女とは二度とデートしないよ。)
I will never ever meet the person again.
(その人とは二度と再び会いたくない。)
Never ever do that again!
(そんなこと二度とやってはだめだ!)
②比較級や最上級を強調する「ever」
比較級や最上級の後に「ever」が使われると、比較級や最上級を強め、「まさに」「これまでで」「さらに」などの意味になります。
It’s snowing harder than ever.
(雪がさらにいっそう激しく降っている。)
She seems happier now than ever.
(今彼女は以前にも増して幸せそうに見えます。)
My parents worked harder than ever.
(私の両親はいつもより熱心に働いた。)
She is the greatest writer ever.
(彼はこれまでで最も偉大な作家だ。)
That sculpture was her best ever.
(その彫刻はまさに彼女の最高の傑作だった。)
It was the hottest ever summer since records began.
(観測史上最も暑い夏でした。)
この「ever」は、「It was the hottest summer ever since records began.」のように「summer」の後に置いてもかまいません。
She is the greatest scientist that ever lived.
(彼女は、今までにない偉大な科学者です。)
③「first」「last」「only」を強調する「ever」
「ever」は、「first」「last」「only」などを強調する時にも使います。
先日、「TRT World」という海外のニュースの中で、以下のように、この「ever」が使われているのを見かけました。
「Russian wrestling fans compete in the first ever round of the new wrestling craze called “car jitsu”.」(https://twitter.com/trtworld/status/1472886999346561025)
この中の「in the first ever round」というフレーズの中の「ever」は、「first」を強調するために使われています。意味は、「ロシアのレスリングの愛好家が、新しく流行している『カー術』と呼ばれるレスリングの、まさに最初のラウンドで競っています。」といった感じです。
以下は、「last」と「only」が「ever」と組み合わさった場合の例です。
He was the only man ever to talk with the culprit.
(彼はその犯人と言葉を交わした唯一の男性だった。)
She was the last woman ever to love the artist.
(彼女はその芸術家を愛した最後の女性だった。)
まとめ
いかがでしたか?
「ever」には、今回ご紹介した以外にも、「if節」で使われると「もし一度でも」という意味になるなど、いろいろな使い方があります。それはまた次の機会にご紹介できればと思います。
また、お気づきになったかと思いますが、強調の「ever」は日本語にした場合にうまく訳せないことも少なくありません。訳さなくていい場合もあります。しかし、日本語にはなりにくくても、「ever」を入れるネイティブの気持ちを会話の中などで感じ取るのは大事です。その気持ちがわかるようになると、自分の英語力も一歩前進したということになるでしょう。そして、自分が話す時にも意識して強調の「ever」を使ってみるのもいいのではないかと思います。
byあいんちゅ
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ライターあいんちゅのプロフィール
語学、海外トラベル系の雑誌やムックの企画と編集そして執筆を長年しています。元大学教員。書くことが好きで常に何か考えて、書いていないと落ち着かない性分です。還暦過ぎてからの留学を実現するために日々英語勉強中。