日本語でよく言う「どちらでもOK」を英語で言うと?
さて、冒頭からいきなりですが、日本語で「どちらでもOK」と言いたい場合は、「both」だと思いますか? または「either」だと思いますか?
例えば、会社で、部下が上司に新製品のプレゼンをしています。2つのデザインのうちからどちらかを決めているようです。そこで以下のような会話がなされたとしましょう。
部下:この2つのデザインのどちらがいいですか?
上司:どちらも素敵ね。どちらを使ってもいいわ。
では、上記の会話を英語に訳すとどうなると思いますか?
部下:Which one of these designs do you prefer?
上司:H’m, both are excellent. We can use either one.
日本語では、上司の言葉は「どちら」という言い方が2回出てきていますが、英語にすると「both」と「either」に使い分けられています。
これはどういうことでしょうか。
今回は「both」と「either」の基礎的な違いを解説しましょう。
「both」の意味と使い方
「both」の使い方は多様で、形容詞として使われる場合、代名詞として使われる場合、そして副詞として使われる場合があります。それぞれ説明していきたいと思います。
・形容詞の場合
「both」が名詞の前に置かれ、形容詞として使われる時は、「両方の」「 双方の」という意味になります。
It’s complicated. I think it cuts both ways.
(それは難しい問題です。私は、諸刃の剣だと思います。)
I do not want both presents.
(プレゼントは両方はいりません。)
名詞の前に「the」「these」「my」などがある場合は、「both」は「the」などの前に置かれます。
Both the brothers play the guitar.
(兄弟両方ともギターをひきます。)
つまり、「The both brothers…」とはしません。
・代名詞の場合
代名詞として使われる場合は、「both of A」という形になり、「両方」「双方」という意味になります。「A」に入るのは、「the」「these」「my」などの限定詞を伴った複数名詞句になります。
Both of my friends gave awesome performances.
(私の友人は両方とも最高の演奏だった。)
・副詞の場合
熟語のように使われる「both A and B」が、副詞の場合の主な使い方です。意味は、「AもBも」「両方とも」になります。
Both Nancy and I are interested in psychology.
(ナンシーも私も心理学に興味があります。)
This movie is both interesting and useful.
(この映画はおもしろくて役に立ちます。)
「either」の意味と使い方
「either」も「both」と同様、使い方には、形容詞の場合、代名詞の場合、副詞の場合があります。
・形容詞の場合
「どちらか」という意味になり、2つのもののうちどちらか一方を選ぶように促された場合などに使います。
A:Will you choose either date for the meeting?
B:Either one is fine with me.
A:いずれか一方の会議の日程を選んでくれませんか?
B:どちらでもOKです。
「どちらでもいいです」「どちらでも大丈夫です」は、他にも「Either is fine.」「I’m fine either way.」「I’m happy either way.」などの言い方があります。
「Either is fine.」というように、「either」が単数扱いになっていることに注意しましょう。
もしここで「Both are fine.」というと、日本語にすると「両方とも良い」といった感じになり、「Either one is fine.」と同じように思われます。しかし、ここでは文脈上、片方の日程を選ぶ訳ですから、「Either」の方が正確です。「Both」を使うと2日とも会議をやりたいというように誤解されてしまいます。
一方、冒頭で紹介した、上司と部下の商品のデザインのやりとりの場合、上司のセリフの「both are excellent.」は、どちらかの採用を決める前に、まず単に「両方とも良い」という感想を述べているだけなので「both」で大丈夫なわけです。その後に「どちらでもよい」という意味で「either」を使っています。この場合は、採用するのは1つだけなので「either」となるわけです。
・代名詞の場合
この場合も、2つのうちどちらか一方に関して尋ねる、または尋ねられた時に使います。
I’m not sure that either is better.
(私はどちらが良いのかよくわかりません。)
There are two rooms, and you can take either of them.
(2種類の部屋があり, いずれを選んでもよいです。)
・副詞の場合
主に、「either A or B」という使い方で、「AかBかいずれか」という時に使います。
Take either German class or Chinese class.
(ドイツ語か中国語の授業か、いずれかを受講しなさい。)
Either this cell phone is broken or its battery is dead.
(この携帯電話は故障しているか、バッテリー切れかのいずれかです。)
まとめ
いかがでしたか。
今回は、「both」と「either」の違いを解説しました。
日本語では区別しにくいですけれども、文脈や表現したい意味によって対応する言葉が違いますので気をつけましょうね。
今回ご紹介した中でもぜひ覚えておいていただきたいのは、「どちらでも大丈夫です」という言い方。日本語でよく使われる言葉ですが、とっさに英語でどう言おうかと思うと、意外と詰まってしまうものです。「Either one is fine.」「Either is fine with me.」「I’m fine either way.」「I’m happy either way.」といったフレーズがぱっと出てくるよう、何度も繰り返して練習してみてください。
byあいんちゅ
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ライターあいんちゅのプロフィール
語学、海外トラベル系の雑誌やムックの企画と編集そして執筆を長年しています。元大学教員。書くことが好きで常に何か考えて、書いていないと落ち着かない性分です。還暦過ぎてからの留学を実現するために日々英語勉強中。