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「チルい」。日本語英語のガラパゴス化?

考え中の若い女性の横顔、白い背景で手を顎に当てている。明るいブラウンの髪と真剣な表情。
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「チルい」と日本人の英語の受容の仕方

 

こんにちは。

 

先日、初めて「チルい」という言葉を耳にしました。

最近、SNS上などで若い人が使っているそうです。

英語の「chill out(まったりする/リラックスする、遊びに行く)」から派生した言葉で、様々に使えるそうです。

「この曲はチルい」と形容詞のように使ったり、「先週の土曜日はチルった」と動詞のように使ったり、「きょうは良い天気で風がさわやかで、とてもチルってる」と形容動詞のように使ったり

「チル」という音の響きは、いかにも若い人が好みそうな、かわいらしい音だなと思います。

同じように「エモい」という言葉も、若い人のあいだで使われていますね。英語の「 emotional (エモーショナル)」が由来で、「感情が動かされた状態」「感情が高まって強く訴えかける心の動き」 などを表現するそうで、「感動」「しみじみ」から「懐かしい」「ノスタルジックな」「哀愁がある」「寂しい」、はては「情緒がある」まで、かなり広範囲に、多様な感情に使えるようです。

考え中の若い女性の横顔、白い背景で手を顎に当てている。明るいブラウンの髪と真剣な表情。

<日本語英語はあり?なし?>

これらの「英語派生の若者言葉」がこの先、日本語英語として定着していくのか、それとも何年か後には消えてなくなっているのかわかりませんが、「チルい」にしても「エモい」にしても、最初に考えて流行らせた人はセンスがあるなと思います。

英語という視点でみれば、「チルい」をきっかけに語源の「chill out」ってどういう意味だろうと調べたり、英語への興味が湧けばすばらしいことですよね?

ですから、筆者はこのような日本語英語を否定しません。言葉遊びのような感覚で、センスのよい日本語英語への変換には脱帽です。

言葉は生き物ですから変化します。日本語にも外国語を取り入れて定着してきた例はたくさんありますね。英語は言うに及ばず、ドイツ語の「アルバイト」、ポルトガル語が語源と言われる「カステラ」や「ばってら」などは、日本語の単語として定着していると言ってよいと思います。

 

<日本語英語、1980年代と2020年代の違い>

さて、1980年代にも、「ナウい」という日本語英語が流行りました。ご存じない世代の方たちのために念のためご説明しますと、英語の「now」を形容詞化したもので「現代的」「流行に乗っている」という意味です。他に「ニューい」(英語の「new」から派生して、「新しい」の意味)という日本語英語もあったようです。

ちなみに、この「ナウい」は、今や完全に死語です笑。そう考えると「チルい」や「エモい」もこの先の運命やいかに…という感じですが。

 

ちなみに、1980年代と2020年代の今では、若い人のあいだで流行った日本語英語に違いがあるように思います。

1980年代の「ナウい」は説明がなくてもおそらく日本人のほとんどの人が意味がわかるのに対し、「チルい」や「エモい」は意味するところが感覚や感情という非常に曖昧なもので絶対的な定義がなく、人によって受け取り方が違う、あるいは理解できない可能性がある、という違いです。

<日本語英語乱用の安易さ>

この違いも含めて、最近の日本語英語に関して気になることが2つあります。

ひとつは、たとえば多種多様な感情を「エモい」という言葉ひとつで片づけてしまうことの、言ってしまえば情緒・文化のなさ。

最近の「ヤバい」という日本語にも言えることですが、日本語には感情・心情の機微を表現する最適で美しい言葉がたくさんあるのに、それを探す努力をせず、安易に「エモい」や「ヤバい」のひと言ですませてしまうことは残念だなと思います。1980年代の「ナウい」は完全にウケ狙いの笑いの要素があった一方で、同時に適切できちんとした日本語も使われていたと記憶しています。

<日本語英語のガラパゴス化?>

もうひとつは、日本語英語のガラパゴス化。やや、難い説明になりますが、たとえば「チルい」「エモい」が日本の中だけ認知され、外国人とのコミュニケーションにおいて意味の互換性を失って孤立するだけでなく、日本人が取り残され適応性と存在という観点で能力が著しく劣化する…という状況です。

大げさだと思われるでしょうか? 筆者はけっこう本気で危惧しています。

たしかに英語は様々な国・地域に浸透し、その土地で変化・変異することはめずらしくありません。

シンガポールで通常話される英語は、訛りや独特の言い回しがあり、通称「シングリッシュ」と呼ばれています。たとえば「No need」。シングリッシュでは「ノーニー」というようです。

ただ、多くのシンガポール人は「標準」の英語も使えます。基本を知って崩しているので、使い分けができているわけです。

お世辞にも標準の英語を使いこなせているとは言えない日本で、「チルい」「エモい」に代表される、日本の若い人にしかわからない日本語英語が席巻することは、はたして良いことなのでしょうか? 内輪受け、内向き志向が強まりはしないでしょうか?

もっとも、1980年代の「ナウい」が消えたように、「チルい」「エモい」など、いわば半魚人のような日本語英語は絶滅する可能性が高いのかもしれません。であれば、流行りの半魚人言葉に飛びつくよりも、標準英語をひとつひとつ身に着けていった方が、人生、豊かになるのではないでしょうか。

 

By Acco
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執筆担当 阿部担当講師  阿部 毅(TOEIC985点)